前十字靭帯損傷
バスケットボールの着地で膝が「ガクッ」と抜けた。
サッカーの切り返しで、膝の中にブチッとした嫌な感覚があった。
バレーの着地や、野球の走塁・守備で膝をひねり、その後から腫れてきた。
このような場合、前十字靭帯損傷を疑うことがあります。
前十字靭帯損傷とは
前十字靭帯は、膝の中で太ももの骨とすねの骨をつなぎ、すねの骨が前にずれすぎる動きや、膝のねじれを抑える重要な靭帯です。ここを損傷すると、膝の安定性が低下します。
痛みが軽くなり歩けるようになっても、靭帯の働きまで戻ったとは限りません。
よくある症状は、受傷後に膝が腫れる、歩くと不安定、膝が伸びにくい、ジャンプや方向転換が怖い、運動再開時に膝が崩れる感じがある、などです。
特に、けがをして数時間後から翌日にかけて腫れが強くなる場合は注意が必要です。
前十字靭帯損傷は、相手とぶつかった時だけでなく、接触がなくても起こります。
ジャンプの着地、急停止、方向転換、膝が内側に入った姿勢、体が流れたまま踏ん張った場面などでも損傷することがあります。
「ぶつかっていないから大丈夫」と自己判断せず、腫れや不安定感がある場合は一度確認しましょう。
痛みは数日から数週間で軽くなることがあります。しかし、ここで「治った」と思ってスポーツに戻ると、切り返しや着地で再び膝が崩れることがあります。
膝崩れを繰り返すと、半月板や軟骨を傷める可能性もあります。
特に学生アスリートでは、大会や試合が近くて無理をしやすいため、復帰前の評価が大切です。
前十字靭帯損傷の治療
診察では、受傷場面、腫れの出方、受傷後に歩けたか、痛みの場所、膝の動き、不安定性を確認します。
必要に応じてラックマンテストや前方引き出しテストなどを行います。X線検査では骨折の確認、MRI検査では前十字靭帯の損傷だけでなく、内外側半月板損傷や骨髄浮腫、内外側側副靭帯損傷の合併がないかを確認します。
当院では、医師の診断をもとに、年齢、生活内容、競技レベル、復帰目標、患者さんの希望を確認して治療方針を考えます。
腫れや熱感が強い時期は、まず炎症を落ち着かせます。
保存療法の場合も、ただ様子を見るのではなく、膝の動き、筋力、歩き方、動作の癖を確認し、膝に負担がかかりにくい状態を目指します。
競技復帰を希望する方、膝崩れを繰り返す方、半月板損傷が疑われる方では、前十字靭帯再建術が検討されることもあります。
その場合は、患者さんの希望や通院しやすさを確認し、専門医へ紹介します。
手術後は、理学療法士が状態に応じたリハビリテーションを行います。
膝がガクッと抜けた、受傷後に腫れてきた、膝が伸びにくい、歩くと不安定、スポーツ復帰が怖い場合は、早めに整形外科を受診してください。
前十字靭帯損傷は、単なる膝の捻挫とは異なります。痛みが引いても、膝の安定性が戻っていないことがあります。
安心して競技や日常生活に戻るためにも、まずは膝の状態を正しく確認しましょう。

